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執筆者の写真別府 浩一郎

真のバブル相場


日銀「主要銀行貸出動向アンケート調査」(6月9日~7月8日実施)では、資金繰りに窮した企業および余裕資金の積み増しを図る企業からの借入ニーズ急増で、企業の資金需要DIがリーマン破綻後を上回る水準まで急増した。銀行も信用枠設定や信用リスク評価を緩めて、そのニーズに応えた。対照的に、個人の資金需要DIは大幅なマイナスを記録。前号で見たように、米国では住宅ローン金利の大幅低下が住宅購入意欲を高める要素と成り得ているが、既に極限まで下げてしまっていた日本は様相が異なる。銀行の個人向け貸出運営スタンスDIも近年の最低水準からほぼ動きが無い。


Nasdaq総合指数の200日線からの乖離率が7月10日に20.5%まで上昇し、コロナ・ショック前の水準を上回って以降、高値警戒感が出ている。ここでの調整は健全なことだと筆者自身も考える。同時に、同乖離率が55.5%にも達した2000年ITバブルと同列に論じることも正しくないだろう。当時は利益どころか売上もろくに無いような企業まで続々と上場し急騰した。あいにく、当時のNasdaq上場銘柄数のデータを持ち合わせていないが、約5000銘柄程度と推察される。ITバブル崩壊、リーマン破綻を経て、Nasdaq総合指数構成銘柄数では2013年4月に2436銘柄まで半減。今6月末は2718銘柄まで復したに過ぎない。「実体が無い」ことがバブルの本質であるとすれば、現在の主力ハイテク株には実体が有り過ぎる。従って、「200日線からの乖離率50%」に突き進むこともまた考え難い。


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